ボザとは何か、ひと言でいえば、キビ、トウモロコシ、小麦、米などの穀物を水で煮て砂糖で甘みをつけ、発酵させて作る、とろみがあってほんのり酸っぱく甘い伝統的な飲み物です。アルコール発酵と乳酸発酵を経るため独特の酸味があり、伝統的には冬の季節にシナモンをふりかけ、レブレビ(炒りひよこ豆)を添えて飲まれます。この記事では、ボザの作り方、中央アジアからアナトリアへと続く歴史、そして今日の飲み方を、出典とともにご紹介します。
ボザとは?規格が定める「発酵させた穀物飲料」
トルコ技術者・建築家会議所連合(TMMOB)食品技術者会議所が紹介するトルコ規格TS 9778によれば、ボザとは、異物を取り除いたキビ、米、小麦、トウモロコシなどの穀物の挽き割りまたは粉の1種類以上に飲料水を加えて煮て、白砂糖を加え、アルコール発酵と乳酸発酵をさせて作る製品です。同じ規格は、酸度によってボザを「甘いボザ」と「酸っぱいボザ」の2種類に分けています。
英語版ウィキペディアがまとめた情報によると、ボザのアルコール度数は約1パーセントと低く、とろりとした口当たりで、味はほのかな酸味と甘みがあります。トウモロコシ、小麦、米から作られた試料の分析では、平均で総糖分12.3パーセント、たんぱく質1.06パーセント、脂質0.07パーセントが測定されました。トルコ語版ウィキペディアは、ボザがチアミンやナイアシンなどのビタミンB群を含むことを記しています。
キビからグラスまで:ボザの作り方を順を追って
食品技術者会議所がまとめた製造の流れは、いくつかの基本的な工程から成ります。家庭や工房によってやり方は異なりますが、考え方は同じです。穀物を煮て、甘みをつけ、生きた微生物がはたらく時間を与えるのです。
- 洗浄と加熱:原料をきれいにし、飲料水で煮ます。
- 冷却とろ過:煮上がった混合物を冷まし、こします。
- 砂糖の添加:混合物に約15から20パーセントの割合で砂糖を加えます。
- 発酵:スターターカルチャーを加え、25から30度で約24時間発酵させます。
- 冷却と包装:ボザを15度以下に冷やして包装します。
発酵を始めるスターターには、伝統的に以前に作ったボザ、サワー種、またはヨーグルトの菌が使われ、今日では市販のスターターカルチャーも好まれます。英語版ウィキペディアは、この工程を乳酸菌がはたらく乳酸発酵と説明しています。使う穀物によって味も変わります。エスキシェヒル県文化観光局によると、エスキシェヒルのボザは小麦ではなく黄色いトウモロコシから作られます。トウモロコシを水で煮て発酵させ、冷ましてこし、砂糖と混ぜて数日寝かせるのです。
中央アジアからアナトリアへ:ボザの長い歴史
穀物から作る発酵飲料の歴史は、はるか昔にさかのぼります。英語版ウィキペディアのまとめによると、アナトリアとメソポタミアでは紀元前9千年紀または紀元前8千年紀から発酵させた穀物飲料が作られてきました。紀元前4世紀にはクセノフォンが、この地の人々がそうした飲み物を地中に埋めた素焼きの壺に入れて涼しく保っていたと書き残しています。同じ出典はボザを最も古いテュルク系の飲み物のひとつとし、中央アジアに起源があると述べています。
文字の記録もこのつながりを裏づけています。英語版ウィキペディアによれば、この飲み物について知られている最古の記述は、1073年の辞書『テュルク語集成(ディーワーン・ルガート・アッ=トゥルク)』にある「ブフスム(buhsum)」という語です。トルコ語版ウィキペディアとエスキシェヒル県文化観光局は、14世紀のアラブ人旅行家イブン・バットゥータが、キプチャク草原のテュルク系の人々がこの穀物の飲み物を飲んでいたと記録したことを伝えています。「ボザ」という言葉そのものも古テュルク語の「ブフス」や「ブフスム」に由来するとされますが、どの言語が最初にこの語を借用したのかははっきりわかっていません。
オスマン帝国のボザ:店、禁令、そして文学
オスマン帝国時代、ボザは都市生活の一部でした。17世紀の旅行家エヴリヤ・チェレビは、イスタンブールだけで300軒のボザ店があり、千人を超える人々が働いていたと書いています。トルコ語版ウィキペディアはこの人数を約1,100人としています。ボザの歩みはいつも平坦だったわけではありません。英語版ウィキペディアによると、セリム2世(在位1566年から1574年)はアヘンを混ぜたボザが出回ったことを受けてボザを禁止し、メフメト4世(在位1648年から1687年)はボザ店を閉鎖させました。こうした禁令は、その後も何度も強められたり緩められたりしました。
ボザは文学にも登場します。オルハン・パムクが2014年に発表した小説『僕の違和感』の主人公メヴルト・カラタシュはボザ売りです。この小説は、イスタンブールの日常生活の中でボザが占めてきた位置を、文学の言葉で思い起こさせてくれます。
バルカン半島からカザフスタンまで、ボザが広がる地域
ボザはトルコだけのものではありません。食品技術者会議所とトルコ語版ウィキペディアによると、ボザは現在、トルコのほか、ブルガリア、北マケドニア、コソボ、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、セルビア、ルーマニア、カザフスタン、キルギスで作られ、飲まれています。英語版ウィキペディアは、味は使う穀物によって変わること、そしてポーランドのビャウィストク地方には、挽き割りキビにレーズン、レモン、砂糖を加えたものもあることを伝えています。
トルコ国内にも地域ごとの違いがあります。文化観光省の文化ポータルは、ビレジク県パザルイェリのボザを紹介し、寒さが始まる9月末にシーズンが始まり、シナモンをふりかけて、名物のパザルイェリのヘルヴァとともにふるまわれると伝えています。エスキシェヒルでは、トウモロコシから作るボザが小さなスプーンを添えて出されます。
ボザの飲み方:シナモン、レブレビ、そして冬の夜
ボザの相棒としてよく知られているのは、シナモンとレブレビです。ヒュリエット紙に掲載された記事でも紹介されているように、ボザは伝統的にグラスに注いでシナモンをふりかけ、レブレビを添えて出されます。レブレビはボザの上に入れてスプーンですくってもよいし、別につまんでもかまいません。まったくの好みの問題です。とろみが強いため、エスキシェヒルのように、ボザをスプーンで食べるようにいただく地域もあります。
飲む時期も伝統の一部です。英語版ウィキペディアによると、ボザは涼しい場所に置かないと傷んでしまうため、伝統的に寒い季節にだけ作られていました。冷蔵庫の普及でこの制約はほぼなくなりましたが、ボザはいまも冬の飲み物として知られています。トルコ語版ウィキペディアは、伝統的な販売シーズンを9月15日から5月15日までとしています。食品技術者会議所はさらに、ボザには牛乳が含まれないため、乳糖に敏感な人やベジタリアン、ヴィーガンの人にも適した選択肢であると述べています。
オルタヒサルで一杯のボザを
カッパドキアのオルタヒサルにあるBozacının Yeriでは、ボザが、メニューの説明どおりキビを発酵させて作る、とろみがあり甘酸っぱい伝統的な飲み物として並んでいます。ご自宅でもボザを楽しみたい方のために、キロ単位で販売するボザ(1kgあたり)もメニューにあります。冬の季節にメニューに加わる温かい栗(ケスターネ)も、寒い日のおなじみの味です。初めてボザを試すなら、おすすめはシンプルです。まず何も加えずにひと口飲んで甘酸っぱいバランスを知り、それからシナモンをかけて味わってみてください。
出典:TMMOB食品技術者会議所(TS 9778によるボザの定義と製造工程)、文化観光省文化ポータル(ビレジク、パザルイェリのボザ)、エスキシェヒル県文化観光局、ヒュリエット・ケレベッキ、ウィキペディア(トルコ語版および英語版)。
よくある質問
ボザは何から作られますか?
ボザは、キビ、米、小麦、トウモロコシなどの穀物を水で煮て、砂糖を加え、発酵させて作ります。伝統的なボザはキビで作るものが最もよく知られていますが、エスキシェヒルなど一部の地域ではトウモロコシが使われます。
ボザにアルコールは含まれますか?
ボザはアルコール発酵と乳酸発酵を経るため、ごく少量のアルコールが生じます。英語版ウィキペディアによると、その割合は約1パーセントです。
ボザはなぜ冬に飲まれるのですか?
ボザは涼しい場所に置かないと傷むため、伝統的に寒い季節に作られていました。冷蔵技術のある今日でも、ボザは冬の飲み物としての性格を保っています。
ボザはどのように飲みますか?
伝統的には、グラスに注いだボザにシナモンをふりかけ、レブレビを添えて飲みます。とろみが強いため、スプーンを添えて出す地域もあります。
ボザはどこで生まれたのですか?
出典はボザを中央アジア起源で、最も古いテュルク系の飲み物のひとつとしています。知られている最古の文字記録は、1073年の『テュルク語集成』にある「ブフスム」という語です。